ZOIDS-Unite- 第5話「謎のディスク」 9
「ありがとう。ザクリス」
「礼はいら……あー……そうだな。礼は嬢ちゃんが無事でいてくれる事で良い。これでもし嬢ちゃんに何かあったら、部品作っちまった俺の責任だしな」
ぽりぽりと頭を掻きながらぶっきらぼうに言うザクリスに、シーナは笑顔で頷くとブレードイーグルのコックピットへ向かう。
「シーナ!」
ふと、カイに呼び止められ振り返れば、カイは笑顔だが真剣な眼差しで言った。
「俺達全員、そのディスクの中身なんかよりシーナの方が大切なんだって事、忘れんなよ」
「うん。ありがとう」
シーナは笑顔でブレードイーグルのコックピットに乗り込んだ。
キャノピーが閉まると同時に、部品のソケット端子を接続する。
そっと部品本体を足元に置いた後、彼女はシートベルトも閉めずに操縦席へ深く腰掛けると、背もたれに体を預けながら呟いた。
「……ユナイト。おいで」
「グォォォォォォ!」
ユナイトがブレードイーグルの中へと消える。
シーナはそっと目を閉じ、意識を集中した。
意識の共有が始まってまず最初に伝わって来たのは、膨大な知識欲と学習欲だ。
目の前にあるもの、自分が体験する事、その全てを知りたい。記憶したい……それはイーグルやシーナの意思とは全く違う異質なもので、すぐにこのディスクがもたらしているのだと分かったシーナは、目を閉じたまま呟く。
「ユナイト。ディスクのプログラムを意識内からシャットアウト。システム面から再アクセス。これが一体何なのか詳しく調べて……」
『グォグォ!』
ユナイトの返事が伝わって来た直後、頭の中を埋め尽くしていた知識欲と学習欲がスイッチを切るかのようにシャットアウトされる。
ふとシーナは、薄っすらと目を開いた。
(私……なんでこんな方法知ってるんだろう……)
イーグルと意識を共有したままぼんやりと考える。
(コアに憑りついたユナイトを触媒にデータを調べる……やった事ない筈なのに……覚えていない筈の事が出来るのは何故?……どうして?……)
微かな不安に揺れた瞳が、ふと心配そうにこちらを見上げる3人の顔を映した。
意識共有をしている為、カイも、ザクリスも、アサヒも、キャノピー越しではなくまるで目の前に居るように見える。
ただ何も言わずに、ただ静かに、そして何処か祈るように……彼等は自分達を見守ってくれている……
だが、不意にザクリスがズボンのポケットから煙草を取り出し火を点けた。
その様子を見てアサヒとカイが呆れたように笑えば、ザクリスは面倒臭そうに何やら言ってぷいっとそっぽを向く。
(アサヒだけじゃなくてザクリスも煙草吸うんだ……ずっと待ってるから、暇なのかな?)
目の前で繰り広げられるいつものやりとりに思わずクスリと笑みが零れた。
難しい事は後で考えよう。
今はディスクを調べて……その後、また皆で揃って夕飯を食べたい。
そう言えば、カイやザクリスがいつも飲んでいる黒い飲み物は一体どんな味なのだろう?
今日の夕食の時、自分も試しに飲んでみようか?
そんな事を考えるうちに、不安は消え去っていた。
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