ZOIDS-Unite- 第7話「痛みの意味」 4
「どうしたの?」
昼食の準備をする手を止め、キャンプバーナーの前で体育座りをするカイの隣に、シーナが真似をするように体育座りをしながら訪ねる。
そんな彼女の頭をわしわしと撫でながら、スープが温まるの待ってんだよ。と彼が教えてやれば、シーナは納得したようにまだ沸騰すらしていないコッヘル鍋を見つめて首を傾げた。
「……まだ?」
「まだ」
「……もう温まったかな?」
「そんな早く温まんねーって」
カイが思わず笑えば、シーナはやっぱり首を傾げて不思議そうな顔をしている。
彼はそんな彼女にからかうように訊ねた。
「シーナ、もしかして滅茶苦茶腹減ってる?」
「んーん。そんなにぺこぺこって訳じゃないよ」
きょとんと返事をするシーナに、今度はカイが首を傾げる番だった。
カイは少し悩んだ後、もしかして……と思いながら、シーナに訊ねる。
「お前さ、まさか料理した事……ない?」
「うん」
「じゃぁ、もしかして鍋とかヤカン火に掛けたらすぐ温まるって思っ……てんの?」
「え? 違うの??」
彼女のその反応にカイは思わず頭を抱える。
いや、一番最初にまだ? と訊ねて来た時点でなんとなく、薄っすら、そんな気はしたが……まさかお湯を沸かすのに時間が掛かる事すら知らないとは……
「……あのな、シーナ。お湯ってのはそんなすぐに沸くもんじゃねぇし、沸いたらグツグツ言うから。だから沸くまで待つしかねーの。OK?」
「うん。おっけー」
シーナは頷いてまだ沸かない鍋をジッと見つめる。
(ジッと見てたって沸く時間が変わる訳じゃねぇんだけどなぁ……)
思わず苦笑しながら、カイはそんなシーナを眺めた。
変に無知で、純粋で、ザクリスが言ったように多分天然も混ざっているのだろう。
なのに、ユナイトの意識共有の事や、あのディスクを調べた時の事を思い出す度に、どうも違和感を感じてしょうがない。
まぁ、本人も自分の途切れた記憶が矛盾だらけで、自分が一体何なのかずっと不安だったと言っていた。
カイですら違和感を感じるのだから、きっと本人にとってはもっと大きな違和感に違いないだろうが……だからこそ思わず考えてしまうのだ。本当に途切れた記憶を取り戻すのが彼女の為になるのだろうか? と……
シーナは自分の体に残る無数の傷跡の事すら覚えていないのだ。それだけでも相当辛く恐ろしい記憶であろう事くらい、カイにも想像が付く。
もし、本当に思い出さない方が良い記憶であったとしたら? シーナが思い出した事を後悔するような記憶であったとしたら? 彼女は、その記憶を受け止め切れるのだろうか?……
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